~どのような場合、初診日がリセットされ「社会的治癒」になるか~

うつ病・統合失調症・双極性障害など精神疾患の場合の社会的治癒とは何か?

社会的治癒について解説します!

障害年金を申請する上では、「初診日」を証明する必要があります。

この「初診日」ですが、社会的治癒という考え方により、一度、リセットされることがあります。それでは、具体的にどのような場合、社会的治癒に該当するのでしょうか。

ここでは、うつ病・統合失調症・双極性障害など精神疾患の場合の社会的治癒について解説させていただきます。

社会的治癒とは・・初診日がリセットされること

通院していない期間があると・・

社会的治癒とは、「もともと通院をしていたが、一定期間、どの病院も通院せず、通常の社会生活や日常生活を送っていた場合、初診日がリセットされ、再診後の受診日を初診日とする」という考え方になります。

ここでいう一定期間がどのくらいかについては、明確なルールはありません。そのため、何年間どの病院も通院しなかったら社会的治癒になる、という決まりがあるわけではないのですが、いずれにしても、数年間の間は通常の社会生活や日常生活を送れていた、ということが条件となります。

なお、障害年金を申請する上で、申請者=国民にとって、社会的治癒になるとどのような場合に得をするのでしょうか。具体的には、以下のような状況です。

・元々の初診日では保険料納付要件を満たさず、再診後の初診日なら保険料納付要件を満たす場合
・元々の初診日に国民年金に加入中であったが、再診後の初診日に厚生年金に加入していた場合
・再診後の初診日であれば、障害認定日までさかのぼって障害年金申請ができる場合

などが挙げられます。しかし、これはあくまでも社会的治癒が認められた場合です。社会的治癒が認められるかどうかは、「初診日の証明書」「診断書」「病歴・就労状況等申立書」などの内容が総合的に判断されます。よって、必ず認められるものではありません。

当事務所でも、「元々の初診日では保険料納付要件がクリアできないので、社会的治癒として再診後の受診日を初診日にしたいです」などというご相談を受けることがあります。もちろん、詳しくお話をお伺いしてからの回答になりますが、詳しくお聞きすると、社会的治癒に該当することが困難と思われるケースも少なくありません。

よって、社会的治癒とは、申請者に都合よく認められるケースばかりではないことは、頭に入れておく必要があります。

どのような場合、社会的治癒になるのか?

社会的治癒の具体的な例は?

当事務所は、社会的治癒になったケース、ならなかったケース、ともに経験してまいりました。それでは、具体的にどんな場合に社会的治癒に該当するのでしょうか?

社会的治癒そのものについては、精神疾患以外の場合も該当する場合があるのですが、ここではうつ病・統合失調症・双極性障害などの精神疾患の場合の具体例について見ていきたいと思います。

どの病院も通院していなかった期間は何年必要か?

投薬のみでも不該当です

社会的治癒が認められるかどうかはケースによりますが、一般的には、最低でも5年間は、どの病院も通院していなかったことが要件になります。

ここでいう5年間は、どの病院も通院していないということだけではなく、投薬も行っていないということが条件です。もし通院をしていなくても、投薬を継続的に行っていたという状況では、社会的治癒に該当することはありません。

また、5年間通院していなくても、必ず社会的治癒に該当するわけではありません。過去の例では、7年間通院していなくても、社会的治癒にならなかったケースもあります。よって、通院していなかった期間、どのような社会生活や日常生活を送っていたのかも大きなポイントです。これは本当にケースバイケースといえます。

なお、精神疾患の場合は、もともと病状に波がある方も多く、症状がよくなって一時的に通院しない期間があったというケースも多いです。しかし、その期間が1~2年間では、社会的治癒に該当することはありません。

よって、「5年間」というのはあくまで最低ラインですが、それ以上通院していない期間があった場合でも必ずしも該当するわけではないので、その点を頭に入れましょう。

通院していなかった期間、どのような生活をしていれば該当するか?

通院中断して、社会復帰したか?



また、社会的治癒に該当するためには、何年間か通院をしていない点以外で、他にはどのような条件があるのでしょうか?

まず一つは、「仕事をしていること」がポイントです。さらに、社会的治癒に該当するためには、「フルタイムで働いて、厚生年金に加入していること」が求められるケースが多くなっています。

社会的治癒では、「日常生活や社会生活が問題なく送れていて、通院や投薬の必要がなく、元気に過ごしていること」という条件をクリアする必要があります。つまり、誰からの援助もなく日常生活を送れ、社会人としてフルタイム勤務しているというようなイメージです。これらの条件が揃わないと、社会的治癒として初診日がリセットされることが難しくなります。また、学生時代であれば、通院を中断している際、大学や専門学校に入学し、何の問題もなく卒業した、などの実績が必要になるケースもあります。

それから、元々の通院がどのくらいの期間だったのかも大きなポイントです。例えば、元々の通院が2,3回のみの場合は、さほど重い症状ではなかったと判断され、社会的治癒に該当しやすくなるケースもあります。これに対して、元々の通院が10年間くらいだった場合、社会的治癒に該当するためには、通院していない期間がより長めに求められることもあります。

よって、社会的治癒とは、もともと単純な話ではなく、該当する可能成があるかどうかは、慎重に考える必要があります。

ここでのポイント

ここでのポイントは以下の通りです
 
  • 社会的治癒とは初診日がリセットされることである。
  • 社会的治癒に該当するかどうかは、通院していなかった期間・その期間の生活状況や就労状況などによって判断される。
  • 社会的治癒の判断はケースバイケースのため、判断が難しい。

当事務所で経験した具体例

具体例で確認しましょう!

それでは、当事務所で経験した具体例を解説します。

社会的治癒で難しい点は、「初診日がリセットされたほうが有利になる場合」「初診日がリセットされると不利になる場合」の両方が存在することです。よって、社会保険労務士としては、「この場合は社会的治癒になったほうがよいのか?ならないほうがよいのか?」ということを意識し、今後とるべき行動を考えながらご相談をお受けしています。

まずは、以下の表をご覧ください。

傷病名 受診しなかった期間 受診しなかった期間の
就労状況
社会的治癒に該当?
うつ病 6年 仕事はしていない ×
統合失調症 4年 フルタイム勤務 ×
うつ病 10年 パート勤務
双極性障害 8年 仕事はしていない
統合失調症 22年 仕事はしていない
うつ病 9年 フルタイム勤務
統合失調症 5年 仕事はしていない ×

ここでは一部のみ記載しましたが、このような結果になりました。傾向としては、通院していない期間が長いほど、社会的治癒に該当することも多くなります。また、上述のようにその間の日常生活や就労状況なども影響してきますので、気をつける必要があります。

また、よくあるケースでは「抑うつ状態のため1回のみ精神科を受診し、その後は5年や10年くらいは通院していない」というケースです。このように1回のみ受診の場合は、社会的治癒が認められる可能成が高まる場合もあります。

よって、そのあたりの判断については、障害年金専門の社会保険労務士に相談をするとよいかと思います。社会的治癒の判断はとても難しく、経験豊富な社会保険労務士でないと、適切なアドバイスができないと思われます。

社会的治癒の解説は以上となります

社会的治癒については以上です

以上、うつ病・統合失調症・双極性障害(そううつ病)など精神疾患の場合の社会的治癒について解説させていただきました。

社会的治癒は本当に奥が深く、何度も経験してようやく審査する側の考え方や傾向が見えてくるといったものになります。

なお、社会的治癒については、とても複雑なものになりますので、該当するかどうかについては、すぐに判断することは困難です。そのため、該当するかどうかの判断およびサポートについては、ご契約者様のみとさせていただきます。

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